㉚タクシーとバスを乗り継いでシャルル・ド・ゴール空港へ
2019年6月 パリ一人旅7日目 最終日その2 <最終回>
ラスパイユのビオマルシェで調達した朝食を、リュクサンブール公園で頂き、
最終日を終了してホテルに戻ります。
ホテルは既にチェックアウト済みで、スーツケースを預けてあり、
もう部屋には戻れないので、エントランス付近のトイレを借りることにします。
パードン マダム ウ ソン レ トワレ? フロントの女性にトイレの場所を聞き
行ってみると、トイレットペーパーが切れていたので、再びフロントへ。
イルニアパ ド パピエ トワレ と申し上げると、慌てて用意してくれました。
大事だと思って仕込んできたこのセリフ、最後の最後で試せてよかった~。
そして再びフロントへ。
プヒエ ブ マプレ アン タクシー ? タクシーを呼んで頂くようにお願いし
おしゃれな椅子に腰かけて、セリフに間違いがなかったか思い返しておりますと、
長身で足が長くて、スーツ姿のノーネクタイで薄手のマフラーをゆったりと襟元に下げ
ギョッとするほどイケメンの男性が颯爽と入ってきました。
大きな歩幅でフロントに近づき、高さのあるフロントのカウンターに、少し斜め向きで
肘をかけ、何かしゃべっています。良く似合うメガネが、インテリジェンスなオーラを
放って、周囲からも注目を浴びています。
ところが、チラッと耳に入りましたよ、ボー ムッシューの単語がひとつ。
“タクシー”
えっ? タクシー? それは私だーーーー!
はいっ と日本語で言って私が立ち上がるのと同時に
フロントのマダムも私の方を示してくれました。
ボー ムッシューは私の方に来てくれて、お荷物はこちらですか?的なジェスチャー。
信じられない。こんな素敵な方が、私を迎えに来てくれるなんて。
こんなトレ ボー ムッシューが、登場してしまうなんて、なんという旅の計らい !
ウィ とお返事すると、ムッシューはスーツケースの持ち手を伸ばし、
私を外へとリードしてくれました。
フロントで会計待ちの日本人女性二人組の羨望のまなざしが、
更にこのリアル感を盛り上げます。
ホテルの前の一方通行の通りには、縦列駐車の車が並んでいて、
タクシーを止めた場所がずいぶん先だったので、スーツケースを引くムッシューの
後について歩きました。
なんか、すごく素敵だけど、ひょっとして・・
東洋人のお手伝いさんと、お仕えする旦那様みたいに見えているのでは?
いえ、絶対そう見えているに違いない・・
私、お客さんなんだから、もっと堂々としなければ・・・
淑女オーラよ、出てきてちょうだい・・
タクシーに乗ると、ボー ムッシューは、運転しながら街の案内をしてくれました。
でも、想定外のシチュエーションの為か、頭の中が真っ白になってセリフが何もでてきません (;゚д゚)
まるで、無視しているみたいじゃないか~これでは。
何とかせねば・・・
そこで、聞き取れた単語を復唱することに。
あ~ ユニバーシテ! おお~ テハトル! ほお~ ギャラリー!
一見、会話が成り立っているような・・・?
そうして、ついに空港行きロワシーバスの乗り場に着いてしまいました。
車のトランクからスーツケースを出してくれるムッシューに懺悔の一言。
デゾレ ムッシュー ごめんなさい。
全く解ってないのに、解ったふりばかりで・・という申し訳なさから出た一言でしたが
ムッシューは驚いて、クワッ? 何が?
ジュンヌ コンプホンパ ビヤン ル ホンセ
フランス語はよくわかりませんと申し上げると、そんなことないよ~的なご様子。
メルシー ムッシュー オー ホボア~ とお礼の言葉を述べてお別れしました。
ロワシーバスに乗り、パリ北側の混沌を眺めながら空港へ到着。
時間がたっぷりあるにもかかわらず、座る椅子が無いので
空港内のエクスキで軽食をいただきます。
さようなら~ おとぎの国。 私は、飛行機に乗って現実の世界に戻ります!
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